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15%アルミ・亜鉛合金線「デュノア」

アルミ溶射・アルミマグネ溶射の下地処理には「非常に厳しいSA3.0」が課せられているのに対して、「デュノア溶射」では手間が軽く済む「SA2.5」仕上げが許されています。(ISO/JIS規格)。
アルミマグネなどアルミ系溶射などで起こる下地処理不足による溶射不良トラブルが少ないうえに、コスト・手間も少なく済む利点があります。

概要

1950年代に米国溶接協会の溶射部会が「フレーム溶射機による低炭素鋼への亜鉛溶射とアルミ溶射の20年にわたる防食効果」についての研究を発表したことに触発され、防食溶射のメッカ欧州でも改めて見直しが始まりました。
鉄製品への純亜鉛皮膜は、犠牲陽極防食に優れ、安価で高い防食性を生むのに対して、純アルミ皮膜は、酸化封孔隠蔽性が高く、酸化硫黄(SO2) 等による重工業地帯の酸性雰囲気や温度の高い雰囲気での耐食性に優れる特性を持つことに着目して、SNMI を中心とするフランスの溶射業界とフランスの金属メーカーの"ヴィール モンタギュー" フランスの国立腐食センター (CEFRACOR)、フランス電力公社などが1960年代から1970年前半まで共同研究を重ねて、防食に優れた溶射用合金線「デュノア」を生み出しました。
SNMI社は率先して「デュノア」の使用を開始し、防食に最も効果的であること、亜鉛溶射より経済的である旨を実証し、その使用を世界に呼びかけ啓蒙してきました。
その結果、現在のフランスでは「デュノア」が防食溶射の2/3を占め、残りが純亜鉛と純アルミとなるほど普及しています。
国際規格(ISO2063 1991-11-01 )も溶射用亜鉛/アルミ合金は、この「デュノア」と同一の亜鉛85% アルミ15% の合金を推奨しています。( 1991年にJISもこのISO2063に整合しました )

(注)研究結果から、亜鉛とアルミの一番良い比率は 85:15 と決まりましたが、何故そうなったかについては、別紙の 「技術説明書」 をご参照願います。

仕様

(1)化学成分
アルミ (ISO115 純度 99.7% )14〜16 %
亜鉛  (ISO752 純度 99.995%)残り
(2)標準外径及び公差
標準外径:1.6、2、2.3、3、3.17、4、4.75mm
外径公差:+0/-0.05mm
(3)機械的性質
比重:5.7g/cm3
ビッカース硬度:40 HV
溶融温度:440 ℃
熱膨張係数:28×10-6
引張強度:100-160N/mm2
破壊迄の伸び:100-200%

溶射皮膜特性

  1. 溶射例( 弊社の溶射機による)
    (イ)溶射速度・効率
    ガスの種類 プロパン アセチレン
    外径3mmによる溶射量 8.7kg/h 8.8kg/h
    溶射距離150mmの場合の溶射効率 76% 82%
    (ロ)皮膜の見かけ比重
    溶射条件により大きく変化しますが、平均5.0前後
    (ハ)皮膜表面粗さ
    ブラスト処理をグリットで行い、Sa 3 (JISZ0313-1998 ISO8501-1写真集)の仕上げ等級まで加工物表面を清浄化してから溶射した結果です。表面粗さは下記のように皮膜が厚くなればなるほど粗くなります。
    皮膜厚さ 表面粗さ
    80μm以下 5〜6μm
    80〜120μm 6〜7μm
    120〜200μm 7〜8μm
  2. 溶射皮膜性能
    皮膜は亜鉛とアルミのそれぞれの優れた性質を兼ね備えております。アルミリッチの核に、亜鉛・アルミの共晶体が囲む分子が、亜鉛リッチ分子と細かく混ざり合って、下記の相乗効果を生んでいます。
    その上、純亜鉛溶射の欠点である大量ヒューム発生と亜鉛特有の強い臭いを最低限に抑える副次効果を生んでいます。

※亜鉛を多く含む分子は、亜鉛そのものの良さを発揮し、鉄に対し陽極となって効果的に犠牲防食します。
※アルミを多く含む分子は、酸化封孔隠蔽性が高く、また、優れた機械的性質と化学的安定・強さをもたらし、亜鉛リッチ部の防食性を強化します。また、耐熱性ならびに耐サーマルショック性を付加します。

国際規格 ISO2063 の推奨皮膜厚さ

耐食環境状況 亜鉛・アルミ 85%・15%の皮膜厚さ(μ)
<塗装なし> <塗装有り>
塩水 (推奨できません) 100
真水 150 100
都市環境 100 50
産業環境 150 100
海洋環境 150 100
乾燥室内 50 50

(注)表中で推奨される最低数値は、条件によれば皮膜が破壊されてしまうかもしれない数値を含んだものであり、必ずしも絶対基準を示すものではありません。何故なら対象物の機能や推定寿命が千差万別だからです。

デュノアの特徴

  1. 防食性
    デュノアは亜鉛に比べて下の塩水噴霧テスト例に見られるように、防食性に優れています。特に亜硫酸ガス・酸性雨や海風に曝される場所で使用される場合はその差が拡大します。
    (A)フランス船舶協会試験所での塩水噴霧テスト例
    試験時間 <デュノア>溶射皮膜の観察 <純亜鉛>溶射皮膜の観察
    24時間 皮膜に変化は認められるが錆の発生は無い 皮膜に変化は認められるが錆の発生は無い
    400時間 皮膜の変化は増大しているが錆の発生は無い(腐食度6) 皮膜の変化は増大しているが錆の発生は無い(腐食度6)
    1184時間 変化なし 斑点状に錆が発生(腐食度4)
    1600時間 変化なし 斑点状の錆が増大
    2000時間 変化なし 斑点状の錆がさらに拡大(腐食度2)

    (B)検査機関 VERITAS での塩水噴霧テスト例(報告書番号 78250.2 )
    5000時間の塩水噴霧テスト結果
    下の写真に見られるように、亜鉛溶射サンプル( 皮膜厚 87.5 ミクロン と 77 ミクロン )は赤錆に覆われたのに対して、デュノアは( 皮膜厚 75.5ミクロン と77 ミクロン )はいずれも白錆発生のみ。


  2. 経済性
    純亜鉛に対して、デュノアは防食性に優れているので、同じ防食力を得るためには、より薄い皮膜で済み、材料費の節約、作業時間短縮の利点があります。それに加えて下記の大きな経済的な魅力の為に欧州で急速に普及が進んだわけです。
    ★歩留まり率 (溶射効率) が良い上に比重が軽いので、材料が亜鉛に比べてデュノアは約半分(重量比)ですみます。(正確には56.5%)
    • 歩留まり
      亜鉛:55%
      デュノア:75%(フュームになって失われるのが少ないので環境問題も改善できる)
    • 検査機関VERITASでの結果 (厚さ80ミクロンの皮膜を1平方メートルに施すときの線材量)
      亜鉛:990グラム
      デュノア:560グラム( 亜鉛:デュノア=1:0.565)

    ★皮膜形成速度が速く、亜鉛溶射に比べて同一の皮膜厚さを得るのに作業時間が約15%短縮できます。(防食性に優れたデュノアは亜鉛に比べてより薄い皮膜で済むことから実際には、更に差が拡大します)
    • 溶射例 (1)(120ミクロンの皮膜を1平方メートルに施すのに要する時間)
      亜鉛:5分20秒
      デュノア:4分30秒
    • 溶射例 (2)
      厚さ(μ) 溶射面積(u/時間)
      <亜鉛> <デュノア>
      40 32 45
      80 16 22
      120 11 13
      160 10

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